なぜ「褒め基準」を設定するのか?


褒められたいお子さんには効果的です

「できるようになると喜ぶのですが・・・」

「できないことをできるようになろうと努力しません」

保護者の方からよくそんなご相談をいただいています。今日はそんな悩みを持つ保護者の方にアドバイスしたいと思います。実際に私が生徒指導するときにも使っているテクニックのひとつです。日々の子育てのヒントになればうれしく思います。

よくある話のひとつに、周囲の大人(親や先生)に褒めてもらえることがうれしくて努力するようになるお子さんがいます。「褒められるとうれしい」というのが努力する動機になっているお子さんです。

まず2元論で考えるのはやめる

そんなお子さんには、意識的に褒める回数が増えるように心がけるとよいです。

下記にて具体的なアドバイスをしますね。

よく2元論で考えてしまう方がいらっしゃいます。「できる」「できない」の2つ選択肢しかない状態です。その間がありません。

たとえば、ちょっとできた、とか。もう少しでできそう、とか。そういう選択肢がないのです。まず、2元論で考えるのはやめましょう。もっと細かい違いを捉えるようにしたほうがよいです。

また褒められると努力するのですから、それを利用したアプローチを取ると有効です。つまり、褒める回数を圧倒的に増やすのです。そのためには、どういう状態になったときに褒めるのか?を考えることが大事です。

「褒め基準」を意識的に設定する

これは具体的な褒め言葉の話ではありません。褒める基準値をどのように設定するのかという話です。「褒め基準」を意識的に設定します。

人が相手を褒めるとき、必ず設定している基準があります。無意識に設定している保護者の方もいますが、私はお子さん相手だったら意識的に設定すべきだと考えます。そうすることで圧倒的に褒める回数を増やせるからです。

どんなに褒め言葉について勉強したとしても、「褒め基準」の設定をあやまってしまうと褒め言葉そのものが出てきません。そもそも褒め言葉が出てこなければ、褒め言葉の発言内容を勉強しても意味がありませんよね。

たとえば「褒め基準」が9だと・・・

たとえば、「できない」状態が0、「できる」状態が10とします。

ある保護者の方は、限りなく「できる」状態に近い9にならないと褒めません。「このくらいはできてもらわないと」といった絶対基準を親御さん自身が無意識に持っており、それが10段階評価のなかの9になっています。

そうすると、お子さんが、

・1から2までできるようになった →「全然できてないわね」

・2から5までできるようになった →「全然できてないわね」

・5から8までできるようになった →「全然できてないわね」

という状態になります。

この子はこの状態のままでずっと努力し続けることができるでしょうか。きっとどこかのタイミングで努力することをやめてしまうのではないでしょうか。

そこで、この絶対基準を私のアドバイスに基づいて、前よりできるようになったときに褒める、と変えました。意識的に「褒め基準」を設定し直します。

そうすると、お子さんが、

・1から2までできるようになった →「前よりできるようになったね」

・2から5までできるようになった →「また前よりできるようになったね」

・5から8までできるようになった →「また前よりできるようになったね」

という状態になりました。

お子さんへの褒め基準を変えたことで、褒める回数が圧倒的に多くなったことがわかります。こうすることでお子さんも達成感を感じやすくなります。褒められたいお子さんはうれしく感じる回数が増えますので、継続して努力しやすくなった、と言えるでしょう。

「できる」状態の10まで導きやすい

前よりもできるようになれば褒めてもらえるのですから、親御さん目線でみたときには全然できてないと思うことでも、お子さんは継続して努力しやすい状態になりました。

絶対基準の9にならないと褒めない親御さんにとっては。3や5くらいで褒めるのは、歯がゆい気持ちになるかもしれませんが、実は、このほうが親御さん自身の考える「できる」状態の10まで導きやすいです。

以前のままのように、お子さんのちょっとした成長を褒めず、親御さん自身の基準である9になるまで、「全然できてないわね」「全然できてないわね」「全然できてないわね」と言われ続けたら、親御さん自身の考えるできる状態になるより前にお子さんの心が折れてしまう可能性のほうが高いです。

よほど意思の強いお子さんでない限り、途中で「できないから、やーめた」と言って辞めてしまうのではないと思いますが、いかがでしょうか。

あなたはお子さんがどうなったときに褒めているでしょうか。一度、冷静に自分のお子さんへの「褒め基準」について考えてみてください。

まとめ

褒め基準を意識的に設定するようにしましょう。そして、褒め基準を親御さんの絶対基準として設定するのではなくて、褒め基準をお子さんの成長に応じて前後比較で考えるようにしてください。褒め基準を多段階に設定するとうまくいくことが多いです。

LFLの家庭教師では、保護者の方からのこのようなご相談にもお答えしてます。お気軽に代表の齋藤までご相談いただけたらと思います。お子さんがよりよく学べるようにサポートしていけたらと思います。

WRITTEN by SAITO

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